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2010年度受賞結果の概要

審査講評

ユニット2:雑貨・日用品、食卓・調理用品、家電機器
澄川 伸一 プロダクトデザイナー

洗濯機、掃除機などの白物家電からキッチン用品やベビー用品まで、普段の生活で誰もが使うアイテムがユニット2の審査対象である。男女、年齢を問わず幅広い層がいかに安全に快適に使用できるかどうかが、審査での重要な判断基準となった。

今年もこのユニットでの審査対象数が、全ユニットの中でも群を抜いて多かったのだが、厳しい一次審査を経て二次審査会場に集まったデザインは、例年よりもすっきりとまとまったものが多く、全体のデザインレベルが確実に向上しているのが会場の空気として感じられた。
白物家電のジャンルでは、特に韓国を筆頭とするアジアメーカーの強い覇気が感じられ、デザイナーのスキルもかなりのレベルに達しているのが顕著であった。実はその背景として、メーカーの中でのデザイナーのポジションが高いことが推測できる。過去によく見られた店頭で目立つための営業戦略的な造形がほとんどない。むしろ、この点では日本国内のメーカーのほうが取り残される危険性すら感じられる。
そして、頭ひとつ抜きん出て目立っていたのが、ダイソンの羽根なし扇風機であった。ここ数年、革新的な発想の商品がなかなか出てこなかっただけに会場でもひときわ目立っていた。他にも、サムスンの水フィルター使用の掃除機や、パナソニックの両方向に使えるアイロンなど、新しい発想のものが少しずつ増えてきたのは非常に良いことだと思う。かつてのホンダやソニーがそうであったような、日本人本来が得意としていた、新技術を背景にした画期的な商品の展開を今後に期待していきたい。
白物家電以外でも、美しいキッチンツールやインテリアとして成立する脚立、携帯性に優れた四角いうちわ、ショッピングカートに変化するロングライフのベビーカーなど、機能とアイデアを美しくまとめた高評価のデザインが数多くあったのも今年の特徴である。