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2010年度受賞結果の概要

審査講評

ユニット6:個人向け車両、乗用車および関連商品、産業・運輸・土木建築関連車両、公共交通関連車両
山村 真一 インダストリアルデザイナー

2010年度のユニット6は、地球規模で課題になっている環境対応社会を反映し、EVカーやハイブリッドカー、EVバイク、電動アシスト自転車などが多く応募され、まさに「EV元年」といえる様相を呈していた。また、この先端技術のモビリティを支える計器類や、タイヤ等の部品メーカーからの応募も今までにない質の高さと点数の多さがあり、驚かされた。
電動アシスト自転車においてはスタッキングタイプからスポーツタイプまで、ラインナップに幅広さが出始めていた。かたや会場の奥に目を向ければ工事用車両や鉄道車両を始めとした大型モビリティが並び、一方では自転車などの小型モビリティを支える極小な部品たちがひしめき合い、年々幅広さが増しつつあるこのユニットの審査は難解を極めた。そんな中でも環境対応設計に本格的に取り組んだ新しい時代の幕開けを切るデザインとして、世界初登場の本格量産EVセダンといえる日産「リーフ」とハイブリッドクーペのホンダ「CR-Z」はベスト15、プラグイン電動バイクのヤマハエレクトリックコミューター「EC-03」はライフスケープデザイン賞に選ばれた。また、中小企業が集まり新しい商品開発に取り組み、成功を遂げた合同会社5LINKSの折りたたみ自転車は中小企業庁長官賞に輝いた。今年度は自動車メーカーや自転車メーカー、またそれらの産業を支える部品メーカーの健闘が特に目立ったこのユニットであったが、鉄道や航空機関、船舶など、公共の交通機関からの応募が少なかったことは、いささか残念であった。
今年度、日産「リーフ」やヤマハ「EC-03」、ブリヂストン「ECOPIA」などは製品単体としてのデザインだけにとどまらず、社会における移動システム全体に対する包括的な取り組みとしての応募がなされていた。このような社会全体の「移動」システムに対する提案を含んだ応募参加が増え、ともに議論を繰り返すようになれば「新しい社会提案の場としてのGマーク」という役割がこの場に生まれるのではないだろうかと、審査を通じて感じた。次年度はより様々なメーカーからこうした応募が増え、より活発な議論がともに展開できるようになれることを切に願う。