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2010年度受賞結果の概要

審査講評

ユニット14:商品パッケージ、個人用ソフトウェア、家庭用ソフトウェア、業務用・公共用ソフトウェア、メディア、デジタルコンテンツ、 広告・宣伝、パブリックコミュニケーション
佐藤 可士和 アートディレクター・クリエイティブディレクター

高度情報化社会へとますます加速していく現在、従来では想像もつかなかったほどデザインの領域は急速に拡大し続け、またその役割も、物の在り方の本質に関係するような非常に重要な部分を担うようになっている。「コミュニケーション」という視点で捉えれば、デザインの使命はさらにクリアになるであろう。企業、商品、パッケージ、広告キャンペーン、ウェブサイト、インターフェース、サービス、イベント、プロジェクト等々、全ては個々のデザイン領域だけでは評価することは不可能。各々があらゆる関連性の中で相対的に存在し、またその価値も状況と共に変化していくことをどう捉えるかが、グッドデザインを見極める上で非常に重要だ。同時にそれは、このようなアワードで既存のカテゴリーにわけて審査をすることが年々困難になってきている状況も表している。それはグッドデザイン賞だけが抱える課題ではなく、あらゆる領域にあてはまり、まさにこのようなアワード自体のデザインを今後どうしていくかが大きな課題であろう。
理想的なビジョンと現実的な運営との折り合いをどうつけるか、それを解決していくのもまたデザインに課せられた使命である。しかし今大切なのは、明らかに以前とはデザインの捉え方、見極め方が変化し、今後もっとスピーディーに劇的な価値の変化が起こり得ることを認識しながら、何がグッドデザインなのかを考えていくプロセスである。そのような中で「AKB48」が印象的だったのは、先に述べたデザインとしての捉え方が非常に新鮮な視点を提示していたからであろう。これは真に新しいエンターテインメントビジネスのデザインなのである。もちろん、単に人気があるからというだけではない。しかしこの「人気」という要素もコミュニケーションという観点では評価の上で絶対に無視できないファクターであるのも事実。これは「AKB48」に限らず、世界的にヒットした商品、サービスなどを見れば明らかである。あらゆる意味でコミュニケーションにおけるグッドデザインとは何なのか、それを探るための旅は続く。