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2010年度受賞結果の概要

審査講評

ユニット4:産業・土木建築関連機器設備
大島 礼治 インダストリアルデザイナー

今年度のユニット4を概観すると、昨年度までの女性が職場に進出したから、「女性らしい曲線の造形」「女性に受け入れられるパステルカラー」などの形容詞的なデザイン言語はなくなり、本来のプロが使用する道具としての顔立ちに整った印象がする。
二次審査対象製品のなかで全体の36%を占める中小企業からの出展が存在感を増すと同時に、製品の完成度に驚くばかりである。反面、大企業のデザイン開発に迷いのようなものを感じてしまうのは何故だろうか。
このユニットを構成する製品群は専門家が使用する道具であり、検査機であり、加工機などから構成されていることもあり、流行に左右される民生品とは大きく異なる。プロが使用する専門機器として華飾を排し、作業目的を達成する高次元な解決手法が求められる。
製品の審査は応募時に記載されたデザインの特徴を一つ一つ確かめながら、重量バランスや作業姿勢を再現し、実際の動作確認をおこなうことを審査手法のベースにしている。そのことからも、応募される方には記載された内容が確認できるような準備をお願いしたい。
具体例を指摘するならば、電動ドライバーはハイトルクと安定性、動作時の静音性を特徴とした場合、少なくとも充電池はあらかじめ充電していただきたい。操作パネルのGUIが特徴ならば通電可能にし、操作に必要なソフトは組み入れて欲しい。せっかくの製品特徴が審査不能の状況になってしまい、両者にとって不都合な結果になることは非常に残念であり、今後もより適切な審査が行えるように図っていきたい。