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Good Design Award 2004
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審査委員/審査講評

新領域デザイン部門

審査ユニット長 赤池 学

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新領域デザイン部門もその発足から5年目を迎え、ようやくその企図するミッションを深く理解した、優れた応募作品に恵まれた年となった。それを象徴するかのように、当部門から3つの特別賞も選ばれることとなった。金賞を受賞したサントリーフラワーズ(株)の「青いバラ・カーネーション」、インタラクションデザイン賞、およびグランプリ候補に選出された(株)日立製作所の「ミューチップ」、エコロジーデザイン賞に輝いた積水化学工業の「自然に学ぶものづくり研究助成プログラム」がそれである。
遺伝子改変によって生み出された花卉、ICチップというデバイス技術、そして研究者を助成する社会貢献事業が産業デザインの観点から評価された事実。そこには、「もの」ではなく、「こと」という状況のデザイン、ものの開発に先立つビジネスモデルのデザインを褒賞したいという新領域ユニットのコンセプトが如実に象徴される結果となった。
こうした特別賞受賞作品以外にも、ものづくりの未来を予感させる優れた提案が、幅広い業種業界から数多く寄せられた。
例えば、(株)NTTドコモの「OnQプロジェクト」。モバイル開発の企画段階からデザインを導入し、キット化されたワーキングプロトタイプでインナー、ユーザーの「経験」をプロダクトに反映するという、画期的なデザインプロセス提案である。機能やデザイン変更を共有するためのツールにとどまらず、こうしたワーキングツールをユーザーに開放すれば、マーケットインなものづくりを確実に進化させていくはずである。
ユニークな受賞作品としては、万人不同の静脈を判読する富士通(株)の「手のひら認証システム」、指に装着し、触覚感覚を増幅する名古屋工業大学とトヨタ自動車(株)が開発した「触覚コンタクトレンズ」などがある。上述した特別賞作品同様、研究者やエンジニアがその成果をデザインとして評価して欲しいという潮流が定着し始めたこともうれしいかぎりである。
また、中小製造業からの受賞も輩出した年だった。ノンパッキン継手や油水分離シンク、生産性向上の支援システムなど、優れたデザイン提案に富む生産材技術や装置開発についても、引き続き積極的な応援を担えればと考えている。
今後は、研究や技術開発に参画するデザインプロセスの質そのものが確実に問われることとなろう。「ためにするデザイン」から「ともにするデザイン」へ。
次年度も幅広いセクターからのリレーショナルなデザイン提案を、審査委員一同期待している。

[新領域デザイン部門の受賞対象を見る]

 

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