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Good Design Award 2004
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審査委員/審査講評

商品デザイン部門
A07ユニット:自転車、バイク、乗用車および関連商品

審査ユニット長 平野哲行

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この審査ユニットでは、乗用車・カーオーディオ類・カーアクセサリーに加えて、自転車・バイク関連商品が本年度より審査の対象となった。おのおののカテゴリに評価基準があるなかで格差を考慮しながら審査にあたった。
まず乗用車についてはコンセプトを明快に表現できているものを評価したが、全体として昨年よりもさらに企業間・車種間の格差が大きくなったという印象を受けた。コンセプトが明快な商品は企業が自らの想いを語ることができており、恒例となった公開審査プレゼンテーションでも観客を惹きつけていた。そのため、商品コンセプトやデザインコンセプトが曖昧なものは印象に残りにくかった。
乗用車のなかで我々審査委員が注目したのは、高級クラスのカテゴリである。数年前はパッケージやスタイリングの優れたコンパクトカーに各社が力を入れ、注目に値する商品が多く評価対象となり、本ユニットでもコンパクトカーを選んできた。しかし今年は、トヨタが「ゼロクラウン」を登場させたのと同じくして日産から「フーガ」、ホンダから「新型レジェンド」が登場し、戦いの場はこのクラスに移ったといえる。
このクラスで特に強調すべきことは、日本企業のデザインアイデンティティ確立を実感させられたという点である。たとえばトヨタクラウンは、初代が1955年に日本初の純国産乗用車として誕生し、トヨタ初の海外輸出車でもあり世界基準を見据えた車であった。12代目となる新型クラウンでは今までの『らしさ』に加えた変革を求め、開発担当デザイナーが、ものづくりの原点である伝統工芸の現場を訪ねた。そして金沢の人間国宝、徳田八十吉氏、漆塗りの「八木茂工芸」との出会いによって「車にも日本の深い感性を出したい」との思いを強くしたという。
従来は海外の車が範とされており各社のデザインはヨーロッパ車的・アメリカ車的要素が見受けられたが、現在はこのようなジャパニーズデザインがヨーロッパ車的・アメリカ車的な要素に並ぶ志向性のひとつとして確立されてきた感がある。
加えて、かつては奇をてらったり目立つことを主眼にしたかのようなカーオーディオのデザインにも、車の運転時に使用するというインターフェイスが考慮されるようになってきた。近年では車のインテリアも魅力的になってきたことから、日本車の良さを総合的に評価できるようになってきている。しかしながらカーアクセサリー関係においては、昨年に引き続き相変わらず量販店で目立つための造形や色の選択から抜け出せていないと感じられた。奇抜性ではなく、高級感やスポーティさといった車内の雰囲気やグレードに馴染むデザインが求められていることを改めて強調したい。
今年から本ユニットの審査対象に加えられた自転車・バイクに関しては、応募点数がまだ少なく講評はしがたい。しかしながら、バイク関係では近ごろ話題となった大型スクーター、自転車関係では電動アシストなど、新たな生活の広がりを予感させるものが見られた。次年度以降に大いに期待を寄せている。

カテゴリ別講評

自転車、バイク [受賞対象を見る]

このユニットでは今年から自転車・バイク部門を分けて扱うこととなった。まず周辺商品では、(株)リード工業のヘルメットにみられるような安全性とデザイン性の両立が実現されているものを評価した。例えば松下電器(株)や(株)キャットアイ、宮田工業(株)のLEDサイクルライトは前方照射だけでなく夜間の自転車の存在を周囲にアピールするツールとしてとらえている点に注目している。自転車においても技術的な工夫により新規性のあるものが出てきた。フレームを低く設定した乗り降りしやすい宮田工業(株)の「ラックル」や、中小企業庁長官特別賞に輝いた(株)トーストの折りたたみ自転車「17バイシクル」などのフレームデザインに工夫が見られる。電動アシスト自転車についてもサンスター技研(株)の折たたみ自転車や、ヤマハとタカラが共同開発した電動ハイブリッド自転車など、乗ることが楽しくなるものが評価対象となった。バイクでは近頃話題になった大型スクーターに関して、デザインの完成度を重要な評価基準とした。

乗用車および関連商品 [受賞対象を見る]

ユニットの全体講評でも述べたように、乗用車のなかで我々審査委員が注目したのは、高級クラスのカテゴリである。トヨタの「ゼロクラウン」が日本的で繊細な躍動感ある造形を印象づけることに成功しているのに対し、日産の「フーガ」、ホンダの「レジェンド」ではオリジナル性のあるスポーティーな高級車を各々のソリッドなテーマを持って対抗させており、非常に見ごたえのあるクラスとなっている。また、コンセプトに特徴が見られたのは前3席後3席の6座独立シートを持つホンダの「エディックス」、片手でシートアレンジできるトヨタの「シエンタ」などミニバンクラスである。従来のミニバン概念にひと工夫施し、小さな子どものいる30代若夫婦の実用車として提案されたものが目を引いた。カーオーディオではクラリオン(株)の「ADDZEST DXZ945MP」で、指先の操作をガイドする形状によってタッチパネルの欠点を克服したアイデアがみられるなど、ユーザビリティやトータリティを考慮した製品が登場してきており感心させられた。

 

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