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Good Design Award 2004
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審査委員/審査講評

商品デザイン部門
A03-2ユニット:パーソナルコンピュータおよび関連商品、ソフトウェア

審査ユニット長 戸谷毅史

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今年度はコンピュータ分野のほとんどをノートPCが占めていたのが印象的だった。また、デジカメとの連携の強化やスキャナ機能など多機能化したプリンタの増加、ワイアレスルータやUSBフラッシュメモリの多様化も時代を反映しているものと考えられる。海外からの応募も増加しており、国際市場における競争の一端が垣間見える分野であった。
全体としては機器の性能や投入された技術レベルが向上しているものの、外観素材にある種の画一性が感じられた。メタリックな素材の使用やグロスな表面処理などがそれであり、市場の動向に追従するような姿勢が残念だった。またロゴやフォントの扱いなど、グラフィカルな処理が曖昧な製品も見受けられ、造形的な作り込みの甘さが気になった。時代の先端を行く製品分野だからこそ、デザイン主導のブレークスルーが望まれるのではないだろうか。
ソフトウェア領域からは、2件の特別賞受賞商品が生まれた。両者の詳細については別項に譲るが、全般的にインターフェイスの処理、ユーザビリティの向上、システム構成などの側面での意欲作も多く、充実した審査を行うことができたと考えている。しかし市場規模に比すると、まだまだ応募点数が少ない状況であり、今後の応募点数の増加が望まれる。
この分野はその性質上、実際に使用せずにデザインの善し悪しを判断することができない。そのため製品の事前貸し出し、審査当日のプレゼンテーションなど、応募者の皆様には多大なご協力をいただいた。この場をお借りして感謝申し上げたいと思う。

カテゴリ別講評

パーソナルコンピュータおよび関連商品 [受賞対象を見る]

このカテゴリの全体的な傾向は総評でまとめたとおりであるが、ここでは応募作の中から気になった商品を2点紹介したいと思う。
ひとつは、この分野からインタラクションデザイン賞候補に挙がったロジクールの「Qcam(R) Orbit」。これはPC用小型Webカムだが、Face Trackingという面白い機能を持っている。ビデオチャットなどの際、人の顔の動きに合わせて自動的にパン&チルト、デジタルズーミングを行い、常に顔が画面の中央に来るよう調整を行ってくれる。黒を基調とした外観に加え、メカニカル・パン&チルトのサーボモータの音が新しい驚きを助長している。惜しくもインタラクションデザイン賞は逃したが、機器と人間との新しい関係をもたらすものとして注目したい。
これに対して山洋電気(株)の「SUN ACE MC Liquid」は、上述したWebカムとは逆に、一般ユーザーの目に触れる機会のほとんどない商品である。これはCPUの水冷式冷却装置であり、ラジエータ、リザーブタンク、ポンプ、冷却ファンを一体化し、組込み易さとメンテナンス性、汎用性を向上させる構造を持っている。デザインがエンドユーザーに、目に見えないメリットをもたらした好例だといえよう。

ソフトウェア [受賞対象を見る]

今年度は、特別賞に選ばれた2商品の他にもいくつかの意欲作の応募があった。
日立公共システムエンジニアリング(株)と(株)ユニバーサルコムの「ZoomSight」は、WebサーバにインストールすることでWebページのアクセシビリティを向上させる。ページの色調変更、音声読み上げ、ルビ振りなどの機能を提供してくれるこのソフトは、障害の有無にかかわらず、利用者のニーズに対応したWebコンテンツの利用を促進してくれるだろう。同じくWeb関連のソフトとしては、デジタルステージの「ID for WebLiFE」が異彩を放っている。2002年に金賞を受賞した「LiFE with PhotoCinema」と同様の操作性で、FLASHを用いたWebサイトが構築できる。サイト作成に必要なのは、各種の専門知識ではなく、個人の中にあるクリエイティビティであることに気付かせてくれるソフトでもある。また歯科医療現場のデジタル化を促進し、インフォームドコンセントを充実させる可能性を持ったソフトも登場した。朝日レントゲン工業(株)の歯科用デジタル画像情報ソフト「ADR PLUS」がそれであり、デジタルレントゲン写真を軸に、歯科医療従事者と患者とをインタラクティブに繋ぐ試みがなされている。
今年もさまざまな分野からの応募があったが、まだ多くのソフトが隠れている感もぬぐえない。より多くの応募が成されるよう期待している。

 

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