今年度はコンピュータ分野のほとんどをノートPCが占めていたのが印象的だった。また、デジカメとの連携の強化やスキャナ機能など多機能化したプリンタの増加、ワイアレスルータやUSBフラッシュメモリの多様化も時代を反映しているものと考えられる。海外からの応募も増加しており、国際市場における競争の一端が垣間見える分野であった。
全体としては機器の性能や投入された技術レベルが向上しているものの、外観素材にある種の画一性が感じられた。メタリックな素材の使用やグロスな表面処理などがそれであり、市場の動向に追従するような姿勢が残念だった。またロゴやフォントの扱いなど、グラフィカルな処理が曖昧な製品も見受けられ、造形的な作り込みの甘さが気になった。時代の先端を行く製品分野だからこそ、デザイン主導のブレークスルーが望まれるのではないだろうか。
ソフトウェア領域からは、2件の特別賞受賞商品が生まれた。両者の詳細については別項に譲るが、全般的にインターフェイスの処理、ユーザビリティの向上、システム構成などの側面での意欲作も多く、充実した審査を行うことができたと考えている。しかし市場規模に比すると、まだまだ応募点数が少ない状況であり、今後の応募点数の増加が望まれる。
この分野はその性質上、実際に使用せずにデザインの善し悪しを判断することができない。そのため製品の事前貸し出し、審査当日のプレゼンテーションなど、応募者の皆様には多大なご協力をいただいた。この場をお借りして感謝申し上げたいと思う。 |