昨年は、携帯電話とデジタルカメラにおける機能やカタチの差が減り、今までにない商品が生まれる可能性を感じた。今年の携帯電話では、さらに機能もカタチも多様化し、ケータイは電話の域を超えモバイル情報機器全体を包含するカテゴリとなった。それらは大きく多機能型と機能特化型に分類できる。多機能型では、カメラ付ケータイに加え、テレビが見られる、財布代わりになるなど、パブリックとのコミュニケーションを包含する傾向にある。機能特化型では、超小型のソニー「premini」や、ディスプレイもない京セラ「TK50」など、機能を絞り込み、商品の目的や個性を明確化している。また、ビデオカメラやデジタルカメラのようなスタイリングなど、従来のケータイのイメージを払拭しようとする試みもあり、百花繚乱である。一方デジタルカメラ類のデザインは、一眼レフタイプの廉価化や操作性の改善など、質的向上に興じており、まるで成熟商品のようだ。ケータイがデジカメやビデオカメラを凌駕する勢いのなか、カメラ類も従来のカメラの概念を変えるような新しい価値の追求が必要なのではないだろうか。例えば、高画質のカメラ付ケータイは、撮影した画像をサーバーに転送すれば、大容量のメモリーを必要としないというデジカメにないメリットがある。このように、情報の送信と受信、記録方法の組み入れ方を吟味することが、今後の魅力的なモバイル情報機器のデザインに繋がるのではないか。 |