受賞番号:07D01022 受賞対象名: 完全密閉型植物工場システム 受賞企業名: 独立行政法人産業技術総合研究所 プロデューサ名: 独立行政法人産業技術総合研究所 ゲノムファクトリー研究部門 植物分子工学研究グループ ディレクター名: 独立行政法人産業技術総合研究所 ゲノムファクトリー研究部門 植物分子工学研究グループ デザイナー名: 鹿島建設株式会社 エンジニアリング本部 アグリ バイオグループ |
抗ガン剤やワクチンなどの医療用物質生産目的で開発された遺伝子組換え植物を外界から隔離した完全人工環境下で栽培し、収穫物から医薬品原材料の抽出・精製までの一貫した工程を同一施設内で行える遺伝子組換え植物工場システムの開発を目的としました。本システムは、各室での異なる室圧制御、施設からの排気に含まれる花粉等の除去、栽培水・廃棄物の滅菌処理等の遺伝子拡散防止措置と空気清浄度クラス100対応の製造・製剤化システムおよび栽培室内最高照度10万luxに加えて、温・湿度・CO2濃度のプログラム制御により、あらゆる作物種の栽培を可能にする、植物バイオ・野菜工場・製薬システムの異なる技術分野の融合システムです。
必要最小限の空間に、医薬品の高度な製造技術と植物工場の完全な環境制御技術を融合・発展させ、一つのシステムとして結晶化。デザイナーとして安全性・機能性を極限まで追求した結果、機能美とシステムとしての美しさを兼ね備えた施設となりました。社会的にも遺伝子組換え植物を規制するカルタヘナ法に適合する世界初の施設であり、先端技術と社会を結び人類と地球環境保全に貢献する新たなデザインの領域を開拓しました。
医療用物質生産を主な目的に開発されたこの工場システムは、植物バイオ研究、遺伝子拡散防止安全技術、次世代型製薬システム、さらに高効率な野菜工場システムの開発を複合的、横断的に行なおうとする世界で初の画期的な研究デザイン施設である。こうした研究の合意形成のために、研究実証施設でありながら、研究の意義と成果を周知させるコミュニケーションデザインプログラムも導入されている。遺伝子改変に関わる知財の開発とアプリケーションの検討は、国策として急務であり、進行する温暖化がもたらす食料リスクへの技術的ソリューションの提案も、これから増大する地球的課題への対応で、農林水産ゲノム知財の多くを保有する日本にとって、国際貢献と国際ビジネスの最重要な選択肢である。持続可能な食ビジネスへの展開、検査、診断を超えた治療技術への展開を促す意味でも、これから望まれる優れたリサーチデザインのモデルとして、社会的インパクトのある優れた提案といえる。(赤池 学)
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