新ビジネスのデザイン
ビジネスデザインが目指すのは、新しいイノベーションモデルであり、新しいビジネスプラットフォーム。そこにあるデザインは、関係性をつくり上げたり、コミュニケーションを促したり、行動のモチベーションを高めたり、サステナビリティを高めるような、ビジネスの実効性を高める働きをする。
技術・伝承のデザイン
製品における行動、習慣、所作といった人のエモーショナルな部分を残すことには意義がある。近年はITが援用され、既存のデザインが一掃されることがあるが、インターフェースやアフォーダンスを残し継承する製品が登場しはじめた。守るべきもの、革新すべきものは何かを判断するのがデザイナーの仕事である。
好奇心にかられ挑戦する「ものづくりの信念」が、長く愛され、伝承されるデザインを生む。その根底にはモノに対する感動があり、それがつくり手から使い手につながり、それがまた別のつくり手へと渡って世代交代を繰り返していく。
地域社会のデザイン
いま、都心よりもむしろ地方に課題の最先端が見られ、解決策も生まれている。そこではものごとを発想し組み立てる構想力と、必要なものを発見し掘り起こすキュレーション力、そして既存のものを活用し、組み替えて構築する編集力が注目されている。
それは本当に必要なのか? 誰を幸せにしようとしているのか? それを切実に考えることが最初に大切で、従来のビジネスモデル構築から始めるべきではない。真のニーズをつかんでいれば、ビジネスは後からついてくる。
防災・復興のデザイン
国際社会において最重要課題となっている気候変動への対応は、デザインがもっと向き合うべきテーマだ。大企業が省CO2に取り組み社会の流れをつくることは評価すべきこと。単なるCSR活動にとどまらず、経営上の課題として取り組むために経営者の積極的な意志が必要である。
被災後はまちを元の状態に戻す「復旧」作業が行われるが、まちの未来を創造する「復興」が必要だ。そのため形だけでなく仕組みも含めて再生すべきで、プロジェクトマネジメントを含めたデザイン力が期待される。
Director’s Comment
既成の枠にとらわれないデザインという方法論は、ビジネスのビジョンや戦略をイノベーティブに構築する上で有利に働くだろう。デザインの領域は、事業企画のプロセスへと拡張していく。このデザインが一般的なビジネスソリューションと違うのは、視覚的、物理的な美しさがビジネスの成功と結びついていることで、そのことにはこだわりたい。