開催にあたって |GOOD DESIGN EXPO 2011

デザインは生活を豊かにする知恵とそれを具体化する行為です。「豊かさ」といってもそれは経済的な意味だけではありません。「豊かさ」とは、人とモノ・コト、そしてそれを取り巻く環境のそれぞれ相互の関係が適正で調和することを指します。「豊かさ」を定義する場合にはこの適正であるか否かが問われます。しかもそのモノ・ゴトが適正であったかどうかは長い年月や時間や人々の経験によって評価されていきます。適正なものは残り、適正でないものは淘汰され消えていきます。

グッドデザインエキスポは私たちのこれからの生活において何が適正であるか否かを問い、見極める場でもあります。そして製品開発やデザインに携わってきた人々や企業がこの難題に挑み、重ねて来た努力の成果を発表し合い、評価し合い、賞賛する場でもあります。会場には製品開発やデザインに関わった人々、新製品やデザインに興味を持つ学生や一般の方々が沢山訪れます。展示されたデザインの適正さは訪れた人すべてによって評価されるべきものであります。審査され、展覧されるために、会場は過剰なイベントの演出よりも、できるだけシンプルに且つ整然と構成されています。

東北の大震災や福島の原子力発電所の事故の経験によって、私たち一人一人の生活やものづくりへの考え方や価値観が大きく変化しようとしています。デザインを感覚的な良さとして捉えるのではなく、これからの生活に本当に必要なものであるのかどうか、まさに「適正」が問われる時代なのです。グッドデザインエキスポもそういった意味において重要な役割を担っています。
この場で真の「豊かさ」と「適正さ」をみなさんで問い直してみたいと思います。

深澤 直人 深澤 直人
2011年度グッドデザイン賞審査委員長

8/26[FRI]18:00-21:00 8/27[SAT]10:00-21:00 8/28[SUN]10:00-16:00 *各日とも入場は終了の30分前まで
東京ビッグサイト 東5・6ホール りんかい線・国際展示場駅より約7分 ゆりかもめ・国際展示場正門駅より約3分