ENGLISH

審査講評

ユニット13:インタラクティブデザイン インターフェース/ウェブサイト/ソフトウェアのデザイン
宮崎 光弘 アートディレクター

本部門は今年から新設されたユニットであり、審査対象はインターフェース、ウェブサイト、ソフトウェアのデザインを扱う。しかし一口にそう言ってもその範囲は広い。本年度の審査対象も、高齢者用のウォーキングデータを元に日記を自動で作成するソフトウェア、オフィスの印刷ミスの削減を目的に開発されたプリンタドライバー、タブレットPCに特化した旅行計画アプリケーション、身体のジェスチャーを使って直感的な操作を行なう最新のゲームシステムなど、ターゲットも目的も多種多様であった。そこで重要となったのは審査基準である。本年度は深澤委員長から「適正」というキーワードが挙げられた。「適正」なインタラクティブデザインとは何か。例えば、useful(有益で)、usable(使いやすく)、desirable(魅力的)であり、製品の目的に合わせてそれらをバランスさせながら質を高めているデザインとも考えられる。そのような視点で個々の対象を審査した。
インタラクティブデザインは、一般的にデジタルメディアの操作系のデザインを示す場合が多いが、インタラクションやインターフェースについて、もっと広く捉えるべきだと考える。例えば、何らかのアクションに対するリアクションがあるモノやコトのデザインをインタラクションデザインと捉えると、その範囲は格段と広がる。また、インターフェースをそのインタラクションが起こる場所と考えるとその範囲も広がる、そしてその関係を、人とモノだけでなく、人と空間、人と自然、人と人、モノとモノ、などと考えていくと、人の営みの殆どがインタラクションデザインと関係していることに気づく。人々の生活はデジタルメディアが進化する中で、もはやインタラクティブデザインとは不可避の関係となるだろう。来年度は、この分野でより質の高いデザインが数多く応募されることを期待する。