2009年度受賞結果の概要

2009年度審査総評/審査講評

2009年度審査講評

審査委員イメージ

ユニット10:公共・文化教育関連施設、土木・環境関連施設、まちづくり・地域づくり

南雲 勝志

デザイナー


今年度は公共・文化教育関連施設の応募が多く、レベルも例年に比べ高かった。逆にまちづくり・地域づくり関連、特に土木・環境関連施設の応募が少なかったことは残念であった。全体的には地球温暖化対策を始め環境問題についてはかなり意識されてきた。審査にあたっては、生活者の視点を考慮しているか? 未来に向けた持続可能な提案であるか? どのようなデザイン的な解決が図られているか? 最終的にはこれからの日本を元気に出来るか? といった観点を中心にかなりの議論を重ねた。
岩見沢複合駅舎は焼失した駅舎をJR関連初のコンペによって設計されたもので、コンパクトで質の高い空間をつくり、同時に地域市民とのコラボレーションを通して、駅を核としてまちを元気にする事に成功した。全国的に疲弊している地方都市の現状にひとつの方向性を示唆しており、特別賞「ベスト15」を受賞した。もう一点の同賞候補であった、京阪電車中之島線駅環境デザインは、駅空間からファニチャーやサインを含めトータルに質の高いデザインを施し、今後の地下鉄のインフラにおける良質なデザインを提案している。サステナブルデザイン賞を受賞したバンブーグリーンハウスは間伐材の利活用という現在多地域で検討実践されている内容でありながら、デザインという観点から極めて明快な回答を示してくれた。もう一点の同賞候補であった、北海道洞爺湖サミット国際メディアセンターは99%という極めて高いリサイクル率を実践し、今後の仮設建築の方向性を感じさせる。またこちらも特別賞にはならなかったが、掛川中央幼保園は分棟型の新しいスタイルを用い、保育という観点から今後の少子化問題や、女性の社会進出を含んだ提案であり、ライフスケープデザイン賞に推薦した。
グッドデザイン賞の多岐に渡る内容の中でも、このユニットは今後日本が経済主義を脱却し豊かな生活を目指すために極めて重要であり、来年以降に向けても積極的な応募を期待する。