2006年度グッドデザイン金賞
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受賞番号:06A12030

受賞対象名:

鉄道車両[台湾高速鐵路700T型列車]

受賞企業名:

川崎重工業株式会社

プロデューサ名:

台湾高速鐵路(股)公司

ディレクター名:

川崎重工業株式会社

デザイナー名:

台湾高速鐵路(股)公司+トランスポーテーションデザイン機構

 

概要

700T型車両はJR東海、JR西日本が共同開発した700系車両をベースとした車両である。高速鉄道車両のニーズに合わせるため、台湾の旅客、地理的環境、気候、法令規則、安全理念、そして将来の発展への対応などを考慮した設計としている。12両編成の編成定員は989名で11両が普通車、1両がビジネスクラスとなっている。運用は、台北〜高雄左営間を最高速度300km/hで台中駅停車の場合、約90分で結ぶ。本車両には、供食サービス、ワゴンサービス、自動販売機、公衆電話などの他、各車に大型荷物置き場を設けている。更に、車椅子利用者や体の不自由な乗客のための広い乗車スペースや洗面所も設けている。

 

 

デザイナーのコメント

形態と機能は時代技術と社会環境を反映しながら進化する。現在日本の新幹線車輌デザインは、それまでの流線形世界の常識であった水滴型や砲弾型という単純形態から、楔型と翼型の組み合わせによる有機的複合三次曲面形態へと再編集され、騒音低減など環境性能向上や動揺抑制による乗り心地性能向上をもたらした。台湾新幹線はこれらの基本思想を踏襲しながらも独創的かつ優美で力強いデザインとして表現することができた。

 

 

審査委員のコメント

「日本初の新幹線海外輸出」を達成した国家レベルのこのプロジェクトは、単に700系新幹線を台湾に持ち込んだだけではない。台湾高速鉄道の技術基準の多くは、欧州規格である。日本の規格、基準がほとんど受け入れられないなかで、採用された電気品や電線、車内設備の材料選定は、いずれもゼロベースから行われた。材料の取捨選択と繰り返された試験。膨大なリサーチとデザインプロセスを経て形になった車両は、かくして見た目は700系だが、その中身はまったく別物として完成することになった。台北に日帰りできるという「時間革命」の背景には、日本の技術力とそれを発展的にカスタマイズする、デザインマネジメントがたたえられているのだ。(副審査委員長 赤池 学)

 

 

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