Good Design Award 2003 Winners
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GDP グッドデザインプレゼンテーション2003
審査委員/審査講評

コミュニケーションデザイン部門

サイトウマコト

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全体的な出品数は多くはないが、内容的に非常に優れている対象が数点あった。いくつか取り上げると、信州グリナリー(株)の「身障者社会参加主導によるリサイクルコミュニケーションシステム」。この仕事は、データの裏にある構造がデザインとして理想型と言える。木炭を使用した空気清浄機の開発をプロジェクトの中心に置きながら新しいビジネスモデルの提案として評価できる。人・もの・地域・環境といった循環型デザインの拡がりが無理なく結びついており、新しいデザインコンセプトが伺える。ブルーミング中西(株)の仕事においては、ハンカチーフのスペシャリティーストアと称して新しいハンカチのシステムを新しいビジネスの突破口としている。ハンカチというほんの小さなモノにユニークなアイコンアプローチのデザインを導入し、ブランドアイデンティティーをつくりだしている。この仕事の素晴らしさは、デパートの隅っこに追いやられてしまった市民権をなくしたモノに対して、本気でビジネスを組み立て直したことにある。日本ミルクコミュニティ(株)の「メグミルクのパッケージを中心としたブランドデザイン」。この仕事は、牛乳のパッケージデザインである。本来牛乳というイメージは青・白・グリーンの組み合わせによってほとんどがなされているものである。この単なる赤という色を使う勇気はなかなかのモノである。もちろんデザイン的にもよくまとまっている。この赤という斬新な色彩を持ってくることによって新しいコミュニケーションデザインに挑戦している。もう一方の牛乳明治乳業(株)「明治 おいしい牛乳」であるが、牛乳を育む牧草のイメージはこのパッケージにはないが、非常に端的に美味しい新鮮な牛乳を表現している。精度の高いコミュニケーションデザインとして評価したい。岐阜県現代陶芸美術館の「ロドチェンコ・ルーム・プロジェクトを中心とするロシア・アヴァンギャルドの陶芸展:発想から展開まで」。これは地方自治体における美術館などの文化施設・文化行政が厳しい状況にあるいま、美術館・地場産業界・マスコミが一体となり現代デザインの源流であるロシア・アヴァンギャルドを自ら解釈し、展覧会を企画するという長期にわたる取り組みが評価された。もう1点小品ではあるが、タイムスリップグリコ<なつかしの20世紀>。若い人たちはこのモチーフに対して全く知識はないと思う。しかし、もの凄いスピードで商品が流れ出ている今の表層的な質感の品々と比べれば、必然的に新鮮に感じてしまうことだろう。もう一方で私のような50歳代前後の人間は、小さなグリコのおまけで、体感したことのないタイムスリップ感を、おもちゃ、お菓子、パッケージ、商品購入を通して体験できる。そして、ターゲット層を中高年男女まで広げ、商品を通じてコミュニケーションを図っている。しかもこの「おまけ」商品の精度の高さには驚かされる。これら数点選び出し個々に述べたが、全体的には満足できる審査会であったと思う。そして私自身も出品されるそれぞれの仕事を見ながら毎回勉強している。

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