Good Design Award 2003 Winners
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受賞結果速報
審査委員/審査講評
賞の構成
GDP グッドデザインプレゼンテーション2003
審査委員/審査講評

商品デザイン部門
ユニット9:文具、オフィス雑貨・家具・設備、店舗用品・機器、知育教育関連商品・設備

和田達也

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この審査ユニットは「文具、オフィス雑貨・家具・設備」を中心として「店舗用品・機器」「知育、教育関連商品・設備」の3つで構成される非常に幅の広いジャンルを審査対象にしている。審査の結果、グッドデザイン賞を受賞した商品は107点であった。
2次審査ではまず審査委員が各自個別に審査対象ひとつひとつを実際に使用し、その後全員で集まり感想や評価について議論、機能性・操作性・先進性など多角的に審議を重ねていく形式をとることにした。審査対象の商品のほとんどは審査委員が日頃から触れる機会の多いモノであり、1ユーザーとしての率直な感想とデザイナーとしての客観的な厳しい目で審査された。

デザインの傾向と今後の問題点

「文具・オフィス雑貨・家具・設備」の商品カテゴリーのステーショナリー類は、全般にエコロジー問題への対策が実行され、その意識の定着は喜ばしいことで、今後すべての商品に望まれる。昨年も審査委員より出たコメントであるが、ボールペンやステープラーなど、機能面での開発、改良は進んでいるが、色やグラフィック処理にはかなり問題があると思われる。店頭でのアイキャッチを考えるあまり、過剰になりすぎてはいないだろうか。ユーザーはもっと洗練されたデザインを望んでいるに違いない。オフィス用品ではユーザビリティを追求した機能的な椅子やテーブルが多く見られたが、魅力的なモノにまでには至っていない。その中にあって(株)岡村製作所のコンテッサシリーズはアルミニウムの美しいフレームと軽快でカラフルなメッシュの背座の構成で、今までにはない美しいオフィスチェアとなっている。また座ったままの自然な姿勢で日常使う基本的な調整がアームレストで簡単に行える機能「Smart Operation」は、ユーザビリティに優れたユニバーサルデザインになっている。
「知育、教育関連商品・設備」の商品カテゴリーは応募点数が少なく、メーカーの積極的な姿勢に期待したい。出品の半分以上を占めた(株)コトブキの動く遊具シリーズは子供が身体全体を使って遊ぶダイナミックな遊具で、すべてのモデルが会場で実際に体験できるようにディスプレイされていたのは素晴らしかった。多くの審査委員がその愛らしい独特なフォルムに惹かれ、注目していた。2次審査会後に同会場で開催されたデザインイベント「グッドデザイン・プレゼンテーション」においても親子で楽しむシーンを多く目にした。またオリンパス(株)の教育用顕微鏡 OLYMPUS CX21の堅実で真面目なデザインには担当デザイナーの信念のようなものを感じた。
「店鋪用品・機器」低迷の続く経済環境の中、このジャンルの商品群には刺激的で元気なデザインの登場が期待されたが、堅実なモノづくりは感じられるものの、今までのイメージを払拭するようなモノは少なく、全体的には今ひとつ魅力的なデザインが感じられなかった。その中にあって(株)日立製作所やオムロン(株)の業務用情報端末は使用空間が考慮され、機能的で美しいデザインにまとまっていた。また(株)ファーストによる店頭用のさまざまなディスプレイスタンドは、主張し過ぎずディスプレイに目がいく美しいデザインであった。不況に喘ぐ店舗の活性化に向け、さらに大胆で洗練されたデザインが必要であると強く感じた。

■ジャンル別講評

文具、オフィス雑貨・家具・設備[受賞対象を見る

この審査ユニットの中で一番応募数の多いカテゴリーである。内容はペンやノートなどの文具という小さなモノからオフィス雑貨・家具・設備など大物までさまざまなジャンルの商品が集められている。今年の応募に関しては率直なところ注目に値するモノは少なかったと感じられる。学校、オフィス、家庭の中で活躍するシーンが多いこの商品群については、審査委員全員で実際に使用し、その後それぞれの感想や評価について討論し厳しく審査された。ステーショナリーは全般に材質、廃棄時の分別や、エコロジー問題への対策が実行されており、その意識の定着には感心した。オフィス用品ではユーザビリティを追求した使い勝手の良い椅子やテーブルが多かったものの、全体には使う喜びや楽しさを実現する魅力的なモノにまでには至っておらず、少々物足りなさを感じてしまった。

店舗用品・機器[受賞対象を見る

このカテゴリーは50点余りと少ない出品数であった。メーカーのさらなる積極的な姿勢に期待したい。新しいスタイルのビルや店舗が多く出現している近年、ライフスタイルやワークスタイルも著しく変化を見せている。店舗用機器がその環境やスタイルに追従できているかというと少々疑問である。今回の商品群の中にも機能的には十分なスペックを持ちながら、使う人や環境を意識したデザインになっていないモノが多く見られた。信頼性というキーワードを掲げるあまり堅いイメージになってはいないだろうか。もっとスマートで美しく刺激的なデザインが必要であると感じる。

知育、教育関連商品・設備[受賞対象を見る

多様化する教育環境に対して、この知育、教育関連商品・設備のカテゴリーの果たすべき役割は非常に重要である。しかし応募点数は残念ながら十数点と非常に少ない結果となった。メーカーの取り組みが消極的であるのか、カテゴリーの認知度が弱いのか原因は不明であるが、子供たちの成長や感性の育成に大きな影響力を持つ商品だけに、もっと積極的にデザイン、開発が進むべきではないだろうか。車や家電が飛躍的に進歩する現代、子供たちを取り巻く環境は決して穏やかなわけではない。もっと子供たちのためのデザインを真剣に考えるべきではないだろうか。

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