Good Design Award 2003 Winners
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受賞結果速報
審査委員/審査講評
賞の構成
GDP グッドデザインプレゼンテーション2003
審査委員/審査講評

商品デザイン部門
ユニット7:乗用車および関連商品

平野哲行

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近年、自動車全体のデザインが見えやすくなった中で、特に今年は、コンセプトが明快なものは形も明快で美しく、コンセプトが曖昧なものは形にも曖昧さが表れていた、というのが総論である。特に乗用車のデザインにおいては、一口にブランドと言っても、メーカーのブランド、商品のブランド、そしてシリーズのブランドの3つがある。新しい乗用車をデザインする場合、3つのブランドを守りつつ革新性を加えていく、というのが難しい。これを上手にマネージメントできている企業は、広い視野で事象をとらえ、1つのコンセプトを煮詰めて、いい成果を残している。デザインのストック、ブランドの蓄積がある企業は着実に力を蓄え、いいデザインを出してきていると言える。大賞になったトヨタ自動車(株)の乗用車 プリウス、ユニバーサルデザイン賞の乗用車 ラウムなどが良い例であろう。反対に、うまくいっていない企業は、社内でコンセプトを絞り切れなかったり、費用やスペース配分やその他いろいろな関係で最後まで残ってしまった問題箇所が、最終的なデザインに悪影響を与えてしまっている。また、費用をかけるだけではなく、プロジェクトのコントロールに対してデザイナーが力を発揮している企業はそれなりにいい車をつくっている。
また、この審査ユニットからは、インタラクションデザイン賞をトヨタ自動車(株)の車載用情報システム G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV(エレクトロマルチビジョン)が受賞している。これは高齢者や色弱者にも使いやすいものとして評価されたが、一方、他のオーディオ、カーナビゲーションシステム、スピーカーに関しては「使いやすいデザイン」というものはあまり感じることができず、どれも似たような印象を受けた。反面、ETC機器は、出始めの頃に比べてどれも小さく、また後付けといえども形がきれいになり使いやすくなっている。
タイヤは、昨年のエコタイヤDNAシリーズ(横浜ゴム(株))のエコロジーデザイン賞受賞により、昨年まで数点の出品であったのが、一気に出品数が10点に増加した。なかでも注目したのは日本グッドイヤー(株)の、車内への静粛性のみならず、高速道路周辺に対しても騒音公害を防ぐように静かな走りを実現したタイヤである。周りの環境にとっても走行音が静かである、という周囲への配慮を持った新しいタイヤという視点が取り入れられたことに大きな発見があった。
カーアクセサリー関係においては、乗用車のインテリアレベル向上に比べて、相変わらず、量販店で目立つためだけの奇抜な色や形から全く抜け出ることができていなかった。今後、デザインをうまく活用することが期待される。来年からの出品に注目したい。
以前の自動車デザインは、やはりメカニカル優先という感覚があったが、インテリアも含めたデザインの重要性が認識されるにつれてデザイナーの地位が上がり、同時に発言権も上がってきている。そして根本的な部分で、デザイナーはスタイリング係ではなく、コンセプトを体現し、エンジニアリングとスタイリングを調和させるという、コーディネーター的役割であることが理解されてきた。世界市場を含め、各企業がしのぎを削り、ターニングポイントに差しかかっていることで、乗用車は今後ますます注目すべき部門になっていくだろう。

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