■ジャンル別講評
携帯電話、モバイル関連商品[受賞対象を見る]
今年から海外向け商品も加わり、機能や形態が多様化してきた。回転式の京セラ au A5305K や回転式と二つ折りを組み合わせたパナソニックモバイルコミュニケーションズ
P505iS、スライド式の三洋テレコミュニケーションズ J-PHONE V-SA702、腕時計型のセイコーインスツルメンツ WRISTOMO(リストモ)など、バラエティ豊かだ。しかし、操作性には不満な点もあり、今後の進化に期待したい。そのような中、オーソドックスなストレートタイプだが、全体を透明感と弾力性のある樹脂で覆い、防水機能を上手に形態表現している
Nokia 5100 や、カタチだけでなくバイブレーションの触感までこだわっているKDDIの INFOBAR には、商品の明確な性格づけに成功しているとの印象を持った。今はカメラ付きケータイが流行しているが、さらに多種多様な機能が付加され続けている。大切なことは、商品の明確な性格づけと、それにふさわしい機能やカタチを従来の概念にとらわれることなくデザインすることだろう。
カメラ、デジタルカメラ[受賞対象を見る]
このジャンルでは、従来的なスタイルの中で質的向上を志向している商品と、デジタルの特徴を活かして新しいカタチを模索している商品に二極化されてきたとの印象を持った。金賞を受賞した日本ビクター(株)
GR-HD1 は、カタチこそオーソドックスだが、世界初の一般用デジタルハイビジョンカメラを実現するために、さまざまな技術的、機能的工夫が集約されている。その一方で、同じく金賞を受賞した松下電器産業(株)の
SDマルチカメラ D-Snapや三洋電機(株) Xacti DMX-C1 のカタチには、従来のカメラのイメージはない。また、FOMAテレビ電話への動画、音声を通信できる(株)ナナオのEIZO
AirView は、現在の携帯電話機がデジタルカメラ機能を備えていることを考えると、好きな場所にレンズだけ移動し、その風景をリアルタイムに観察、記録できるデジタルカメラの別の進化形を想像させる。今後もカメラ機能に特化した商品は残るに違いないが、今まで見たことのない情報記録機が次々と登場することを楽しみにしている。
パーソナルコンピュータおよび関連商品[受賞対象を見る]
操作感に細やかな配慮を感じる商品が印象に残った。ソニー(株) VAIO PEG-Z1 は、本体側面のカーブしたラインの凹部に端子類を集約し、機能表示することで、正面から端子位置がわかるように工夫されている。同様の工夫は、ヤマハ
ブロードバンドルーター・ネットボランチ RT57i にも見られる。本体下部に接続されたコード類をスタンドも兼ねた透明なコードクリップを通して確認できるアイデアだ。他にも、環境の明るさによってモニターとキーボードのバックライトの照度を自動調節してくれるアップルコンピュータ(株)の17インチ
PowerBook G4 や、指先の操作感までこだわって用意された日本アイ・ビー・エム(株) トラックポイント・キャップなどは、実際に使ってわかる工夫と言える。残念なことは、技術的発展途上の商品群にしては、機能もカタチも全体的におとなしくなっていることだ。無意味なカタチの自己主張は望まないが、目的に応じて変幻自在なデジタル技術を活用した、有用で新しい道具は考えられないだろうか。
|