■ジャンル別講評
身のまわり商品[受賞対象を見る]
身のまわり商品のジャンルでは、バッグ、腕時計、眼鏡、靴などのバラエティに富んだ商品が開発されている。バッグやベルトでは軽量化と、今までにない素材使いが目に付き、これらの素材感と機能性を用途に合わせ高い次元でファッションと結びつけている。これらはまさにマテリアルをどうデザインするかにかかっていると言えるので、作り手の中にディテールを丹念に見る姿勢を見いだすとともに、審査側も機構部品が少ない分、より丁寧に商品を見るかたちとなった。スニーカーのように使えるビジネスシューズというものも出現し、靴という商品のこれまでにない多次元的なとらえ方や、機械マニアの多機能腕時計の代名詞のようなGショックがスーツにも合う、ビジネスシーンを意識したデザインを行うなど、ひとつの商品の社会における使用シーンの多様性を示しており、それらに対応するために、デザイン開発、商品開発がより多面的かつ複合的な視点を持つようになっている。
健康管理・美容商品[受賞対象を見る]
健康管理・美容商品では、従来の商品カテゴリーとしての成熟が、ヘアドライヤー、シェーバーでの細部まで処理の行き届いたデザインに読み取れる。また、商品の表面処理も従来のメタル処理だけにとどまらず、2色成型+グラデーション塗装での鮮やかな色彩処理といった新しい手法を取り入れ、この分野での新しい可能性と独自性が見られる。健康管理商品はヘルスメーターや血圧計に見られるように、目的に合った機能と外形のマッチングがより進んでいる。マッサージチェアは、高機能、多機能の高級機から、シンプルな機能のみのものまで、広がりが見られる。ただこういったこれまでの商品群の展開だけではなく、より新しい試みが現れてきている。乗馬療法を取り入れた、世界的に類を見ない乗馬フィットネス機器などはその良い例である。企画とデザインの高い次元での融合が、このジャンルに新たなカタチを生み出そうとしている。
高齢者・ハンディキャプト関連商品[受賞対象を見る]
高齢者・ハンディキャプト関連商品では、大企業、中小企業を問わずにエントリーしてきているのが顕著な傾向である。また介護される者だけでなく、介護する人にも配慮した商品開発が目立った。その中でも高機能な仕組みを盛り込んでいる介護浴槽や介護ベッドが目立ち、特に介護ベッドでは体位変換をメモリーセットで、全自動で行えるということにとどまらず、背・膝角度調整やローリング角度調整などの多機能なプログラムによって寝返り動作を再現し、その複合した動きに対する支援機能を備える。また自分の意志による寝返りが可能な音声コントロール機能も備えるなど、より快適な睡眠をデザインしているといえる。このように介護をより自然に行える仕組みづくりの視点が開発の中に芽生えてきており、ますます進む高齢化社会への対応とハンディキャプト関連のこの分野の熟成度が進んできていることが読み取れる。
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