GDP2002レポート 29日ハイライト

会場中央に設けられたステージ。今までにない、この「公開プレゼンテーション」を見るために来場した方も多く見られました。

注目度の高かった、日産“Z”。チーフデザイナーであり、プレゼンテーターを務めた青木氏は、「つくり手側から直接伝えられる場が与えられるのはいいことだと思う」と語ってくれました。

公開プレゼンテーションを受ける、5名の審査委員。手前から平野氏、舘内氏、片平氏、有元氏、蓮見氏。

各社プレゼンテーションは予定を大きく越えて閉館ぎりぎりまで行われました。

会場の中央奥に並べられた審査対象の乗用車。プレゼンテーションを聞いた後は、実車を確認する人が多くいました。

「乗用車公開プレゼンテーション」
グッドデザイン賞初の試みとなった公開プレゼンテーション審査。今回は「乗用車部門」のみでしたが、各企業の開発担当デザイナーがステージに登場し、審査委員へ直接プレゼンテーションを行いました。審査委員のひとりひとりから、感動の意見に加え、厳しい指摘も出され、非常に白熱したステージとなりました。
<審査委員>
蓮見 孝(インダストリアルデザイナー)
有元正存(デザインジャーナリスト)
片平秀貴(マーケティング・サイエンス)
舘内 端(デザインジャーナリスト)
平野哲行(建築家/デザインマネジメントコンサルタント)
審査委員長  川崎和男(デザインディレクター)
審査副委員長 森山明子(デザインジャーナリスト)

「ラパン」
スズキ(株)
商品企画統括部 第5デザインスタジオ長/課長 片岡祐司氏
商品企画統括部 ADセンター 岩崎宏正氏
若い女性をターゲットに「一緒に時間を過ごしたくなる車」を開発。特徴的な外観に対し「レトロフューチャーな限定車というイメージが強いが、今後も継続して生産していくつもりか?」という厳しい質問が飛びました。
「コペン」
ダイハツ工業(株)
デザイン部 主査 石崎弘文氏
ハードトップオープンスポーツながらも、現実的な小型車を目指したという世界最小のスポーツカー。魅力的なコストパフォーマンスに対し、審査委員から「結果、赤字生産になってしまうのでは?」と現実的な意見が出ました。
「イスト」
トヨタ自動車(株)
デザイン本部 グローバルデザイン企画室 主査 布垣直昭氏
第2開発センター 第2デザイン部 担当員 上新 隆氏
小さい車=広くて安いという概念を取り払うため、自然体でいられるクラスレススモールカーとして紹介された『イスト』。審査委員の舘内さんから「ミリ単位の広さ競争やモノ入れの数での勝負は、心を貧乏にする」と強力な意見が出ました。
「フェアレディZ」
日産自動車(株)
デザイン本部・第1プロダクトデザイン部 プロダクトチーフデザイナー 青木 護氏
話題のフェアレディZのプレゼンテーションに、観客の数もひときわ。昔のZをよく知る世代からはZ復活を喜ぶ声も聞かれましたが、「今この時代の日本でなぜスポーツカーが必要とされるのか?」という質問も出されました。
「マーチ」
日産自動車(株)
商品企画本部・商品戦略室・先行商品企画グループ 主管 田井 悟氏
日産がこだわり続けている車種のひとつ『マーチ』。さらに丸みとシャープネスを強調したデザインが人気を博していますが、「個性的になりすぎると、長く売ることができなくなる」という懸念も出ました。
「ヒュンダイ・クーペ」
ヒュンダイ モーター ジャパン(株)
Design Center Design Team 3, Senior Designer, 劉成宰氏
イギリスやスペインなど、ヨーロッパ諸国でトップセールスをマークした韓国のヒュンダイが、新たに国際市場を狙うクーペを紹介。コンペティターとして、三菱のエクリプスやフィアット・クーペなどの名が挙げられました。
「アテンザ セダン/スポーツ/スポーツワゴン」
マツダ(株)
デザイン本部 チーフデザイナー 小泉 巌氏
“車が好きな人”をターゲットに、国際的に通用するクルマの魅力を引き出した『アテンザ』。異なる3種をプレゼンしたが、「似通った印象を受けるので、消費ターゲットが重なってしまうリスクがある」というコメントが出されました。
「7-Series」
BMW AG
Advanced Design, Vice President, Mr. Thomas Plath
本国から副社長がはるばる来日し、英語で行われたプレゼンテーション。コンセプトから実際のデザインへの落とし込みの解説が、非常に合理的かつスタティスティックで、大変明解でわかりやすいという声もあがりました。
「モビリオ」
本田技研工業(株)
(株)本田技術研究所 和光研究所 上席研究員 宇井與志男氏
「不常識」と呼ばれるホンダのモノづくり哲学。そこから生まれる新しいアイデアやコンセプトへの着眼とデザイナー、宇井さんの個人的な“趣味”の話に、審査委員から「すばらしいプレゼンテーション」と拍手がおこりました。
閉じる