GDA2002 WINNERS 審査委員・審査講評 賞の構成 大賞 エコロジー賞 中小企業庁長官賞 ロングライフ賞
主催者あいさつ グッドデザイン賞 大賞選出過程 ユニバーサル賞 日商会頭賞 表彰式レポート
受賞結果速報 グッドデザインプレゼンテーション2002 金賞 インタラクション賞 審査委員特別賞 アンケート結果
審査講評
コミュニケーションデザイン部門
部門長 サイトウマコト

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今回は、コミュニケーションデザイン部門にとって2回目の審査となった。この部門の性格がだんだん見えてきたように感じる。新領域デザイン部門やその他の部門とのボーダーラインにあるものも多く、どういう基準で選ぶのかが、まず問題になった。
今回新しい審査委員も加わり、審査の在り方について全員で長時間討議した。結果、審査にあたっては、その商品もしくは空間の考え方に新しい視点の提示があるかどうか、綺麗にまとまっているだけではなく「NEW」な部分があるかどうかを重点的に検証していくことにした。審査委員同士が応募対象一点一点について厳密な討論をし、その基準によってあるレベルに至っているものだけが、今回グッドデザイン賞を受賞した。今回受賞を逃した応募対象にはかなり惜しい所で選に洩れた物が多々ある。今後の奮闘を期待したい。

審査対象においてよかったと思われる点
まず金賞候補に「SMAP」ベストアルバムのキャンペーン、デザインコミッティー主催の「デザインの解剖シリーズ」、ニューヨーク近代美術館で開催された「パーソナルスカイ」、そして総合力で金賞候補に躍り出た「八幡ねじのデザインマネージメント」、またユニバーサルデザイン賞として強い推薦のあったNHK事業局の「One Heart, One World」が挙がり、また、株式会社オブザアイの「ポートレイト」が中小企業庁長官特別賞の候補に挙がった。
まず「SMAP」に対しては、前年の「SMAP」のコミュニケーションデザインの素晴らしさは皆承知の通りである。その前回の印象の強さゆえに今回は金賞を見送られた。こういう毎年展開されているもので前回100点を取った場合は、今度は150点取らないと評価されないことが多々ある。そういった意味で前回の印象を超えられなかったのかと思う。今後も楽しませてくれることは間違いないだろう。
「デザインの解剖シリーズ」の場合、デザインをするのではなく、私達の頭の中にあるものたちを分解・解剖してデザイン自体を分析するというコミュニケーションデザインは、私達に新しい視点を示唆した。この作品は見事に金賞を受賞することができた。そして「パーソナルスカイ」と「八幡ねじのデザインマネージメント」に関しては近未来への展望で語ることにしよう。ユニバーサルデザイン賞として推薦されたNHK事業局の「One Heart, One World」は、多くの人たちの心に大きな力を与えたと言えよう。この運動は続けることに大きな意味があるように思う。
株式会社オブザアイの「ポートレイト」の場合は、見事な映像コミュニケーションを実現し、中小企業庁長官特別賞を受賞した。今後も期待したい。

審査対象において問題と思われる点
表現ももちろん大事であるが、自分たちの仕事の成果をプレゼンテーションする際のコミュニケーションの仕方があるレベルに達していない場合、その作品自体が本来持っている魅力がなくなってしまうことを出品者は忘れないでほしい。これは非常に大事な問題である。

審査を終えて、近未来への展望、期待
私個人としては、ニューヨーク近代美術館で行われた「パーソナルスカイ」の表現は、時間と空間を超越した近未来に相応しい展望を示したと思う。
また、「八幡ねじのデザインマネージメント」のプレゼンテーションは、ネジという商品の見せ方等すべての部分で中小企業にデザインの力を輸血し、商品群を活き活きと見せてくれたことは、非常に嬉しい限りである。この仕事のデザイン展開に対して、日本商工会議所会頭賞を受賞することができた。今後の中小企業各社に対してデザインの意味を大きく示したと言える。