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審査講評

ユニット1:身辺のデザイン 身のまわり用品/健康・ケア、育児・介護用品/スポーツ・趣味用品
高尾 茂行 インダストリアルデザイナー

嗜好性の高いパーソナルな身のまわり用品から、特定のユーザーを対象とした健康・育児・介護などの用品、そして、より専門性の高いスポーツ・趣味用品からなる本ユニットにおいては、専門的な情報や、過去受賞デザインとの差異確認なども含めて、応募情報に表現されているデザイン開発概念から社会・生活環境への貢献度などを確認し、慎重に審査にあたりました。
正常な革新や洗練がなされているデザインと、新技術や新素材の導入によってより精緻に性能やユーザビリティーを高めた機能の可視化がなされているデザイン、さらには、これからの社会や豊かな生活環境へむけて適正なソリューションが具現化されている対象を2次通過としました。

今後、これらの分野の商品開発においては、さらなる製造技術、ならびに素材の進化、そしてターゲットとするマーケットにおけるデザイン価値の推移を含めて、複合的に変化していくでしょう。
物理的に満たされた消費者・ユーザーが、単に機能的な利便性やリーズナブルな価格からだけでなく、個々のライフスタイルのなかで、どんなデザインが適正であるか、その本質的な価値を自身の感性や経験値で見極める社会へ変わると予測されます。
前述のように本ユニットの対象にはユーザーや使用シーン(地域)を特定したパーソナルなデザインも存在しますが、幅広いユーザーやグローバルに向けたプロダクトにおいては、革新性を追求するだけでなく、企業やブランドのもつモノ作りの姿勢やコアヴァリューを可視化するとともに、一貫性や理念の感じられるデザイン表現が必要です。
未来の社会を形成するデザインの適正な進化やデザインフィロソフィーの再構築が、これからの豊かな生活環境実現へと繋がると考えます。