2010年度グッドデザイン金賞
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受賞番号:10D06001

受賞対象名:

宇宙実験施設[「きぼう」日本実験棟]

受賞企業名:

独立行政法人宇宙航空研究開発機構

プロデューサ名:

白木邦明

ディレクター名:

筒井史哉

デザイナー名:

「きぼう」日本実験棟プロジェクトチーム

概要

「きぼう」日本実験棟は、日本、米国、ロシア、欧州、カナダの世界15ヵ国が協力して地球周回軌道上に建設を進めている国際宇宙ステーションの施設の一つとして、昨年7月に完成した。「きぼう」は、これまで我が国の無人の人工衛星では成し得なかった実験インフラの提供、実験装置や生物試料の補給・回収・修理などを可能とし、宇宙利用方法の革新、裾野の拡大などに貢献するものである。また、「きぼう」は、宇宙飛行士の操作性、誤操作防止の工夫、システム自動化による作業負担軽減、白と青を基調とした内装や静かで視覚・聴覚に優しいデザインとなっており、ホルムアルデヒドフリー、高気密等と宇宙飛行士にとって安全で優しい施設である。

デザイナーのコメント

「きぼう」の開発当初、欧米の機関には日本が本格的な有人宇宙施設を実現できるとは思われていなかった。日本人特有の勤勉さと手先の器用さでこの施設を実現できたこと、また、軌道上での組立、起動、運用がほとんどトラブルなしに実施できたこと、これらにより漸く欧米に日本の技術力の高さを認めさせ、肩を並べることができたことなどを、日本国民の一員として誇りに思う。

審査委員のコメント

宇宙からのテレビ中継で「きぼう 日本実験棟」での実験は、微小重力環境を利用した物理現象の解明、植物や細胞を利用した放射線や微小重量の生命現象への影響解明することなど多岐に渡る。この実験の様子を見ていると、子どもの頃ワクワクして化学実験などを行った記憶が蘇ってくる。その実験結果は地球上では考えられない不思議さが満載であり、大人でさえも好奇心がムクムクと湧いてくる。「きぼう」は耐久性、安全性、操作性、高気密性等々を極限まで追求しており、隕石からのプロテクトなどさまざまな新素材や新工法が考えられている。削ぎ落とされた機能的であり即物的な姿はとても美しい。
「きぼう 日本実験棟」は、まさに地球環境問題を俯瞰できる叡智の集大成施設である。宇宙開発においてはアポロ、ソユーズなどの米ソが主役であったが、今回世界15ヵ国と協力して地球周回軌道上に建設を進めている国際宇宙ステーションの施設製作に参加している。昨今の日本人宇宙飛行士たちの大活躍とこの「きぼう」の開発とその功績は群を抜いてすばらしい。疲弊した元気のない日本社会に、夢と希望を与える施設であり、まさに今の時代を反映した宇宙スケールのグッドデザインである。

※ より詳しい情報は[グッドデザイン ファインダー]でご覧いただけます。

 
 
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