2009年度受賞結果の概要

2009年度審査総評/審査講評

2009年度審査講評

審査委員イメージ

ユニット15:個人用ソフトウェア、家庭用ソフトウェア、業務用・公共用ソフトウェアなど

永井 一史

アートディレクター


モノを起点とした高度消費社会から経験や意味を追求する社会へと大きな地殻変動を起こしている中で、モノのデザインクオリティーを上げていく以上にデザイン領域を革新し再定義していくことが社会にとって重要になっている。その状況の中でこのカテゴリーは、ソフトウエアやコンテンツなどのデジタル領域、町おこしや企業のCSRのコミュニケーションなど、これからのデザインにとって大きなポテンシャルを持った領域である。審査の中で特に印象的だったのが「GREEN TOKYOガンダムプロジェクト」だ。デジタル化が加速している中で、アニメというバーチャルからリアルを立ちあげたという逆の発想が面白い。緑あふれる都市再生をテーマに夢のあるアイデアを発想し、実現したプロジェクト・デザインに高い評価が集まった。この閉塞感のある現代において、この途方もないアイデアを実現し415万人もの人々の心を動かしたということが、これからのデザインのひとつの可能性を示唆している。また「イワタUDフォント」は、視力低下のユーザーに対してだけでなく、小型化していくディバイスに対しても有効なユニバーサルデザインのフォントを業界に先駆けて着手し、デザインの力によってデジタルインフラへの大きな貢献を果たしたことが高い評価を得た。また、動画編集ソフト「スーパーロイロスコープ」は、動画編集ソフトが海外の大手メーカーに席捲される中、日本のメーカーとして、初心者でも直感的に使えるソフトを開発し、ユーザビリティーと美しいインターフェイスが中小企業庁長官賞として評価された。