2009年度受賞結果の概要

2009年度審査総評/審査講評

2009年度審査講評

審査委員イメージ

ユニット14:個人向けA&V機器、家庭用A&V機器など

ムラタ チアキ

プロダクトデザイナー


情報機器は、人が情報をやり取りしたり、記録したり、記録したものを取り出して使うための媒体。したがって、いつどこで誰がどのようにその情報を処理するのかが、重要なポイントであって、モノ自体の主張がそれを越えてはならないと考えている。例えば、情報機器自体の主張で、「映画を見る」という環境が歪められたりしてはならないのである。あくまでも、人の情報のやり取りをスムーズに支える、エージェントのような存在であって欲しいと考えている。このユニットへの応募対象の多くもそれに呼応するように、機器単体の主張から、空間への調和や、人の行為に寄り添うカタチのあり方へと移行している。

テレビ領域では、LEDバックライト方式のLCDテレビが超薄型を可能にし、ソニーは背面を感じさせないインテリア性の高い全方位デザインを、サムスンは一見ガラス工芸品のような二重射出成型を使った美しいデザインで、今までにないテレビの世界観を切り開いたことが注目された。カメラ領域では、動画撮影機能を取り込む一眼レフカメラが多く、2台の機器を持ち歩くというスタイルが大きく変わろうとしている。新しい企画として注目を集めるマイクロフォーサーズ規格によるレンズ交換が可能なハイエンドコンパクトカメラがオリンパスとパナソニックから応募された。中でもパナソニックのLUMIX DMC-GF1Cは、従来の一眼レフに代わるステージを創り上げ、軽量、コンパクト、直感性、クリエイティビティの可能性を広げる機能など、普段使いの機動性に価値を置いたものとして高く評価された。プロジェクター領域では、超小型サイズの商品が一斉に登場してきた。輝度の低さや廃熱処理に問題があるが、新しいモバイルツールの可能性を開いている。

今年度はこのユニットからソニーとサムスンのそれぞれから応募されたテレビとパナソニックのマイクロフォーサーズ規格のカメラ、あわせて3つの対象がベスト15に選出された。いずれも共通点は情報機器としての立ち位置を、しっかりとデザインに反映させていることだ。