2008年度受賞結果の概要

2008年度審査委員長総評/審査講評

2008年度審査講評

移動・ネットワーク領域
ユニットC17:デジタルメディアなど

中谷 日出

映像アートディレクター


今年の本ユニットの応募作は例年に比べ水準が高く、バリエーションも豊富になった。 グッドデザイン賞を受賞したものは、デジタルコンテンツからサービスまで新しいデジタル・ネット時代を切り開く作品群である。しかし、その反面インターネットの成熟期にありながらWebサイトの応募が昨年とほぼ横並びであったのは意外であり残念である。Webサイトにおけるグッドデザインの審査基準も、ある意味標準化されたWebサイトデザインの世界でただきれいに表現されたグラフィックにとどまらず、時代性や新規性など新たに時代を切り開く要素も必須となっている。また、今年の特徴としてあげられるのはケータイコンテンツの増加だ。ケータイのプロダクトとしての外観デザインの成熟とともにコンテンツの多様化、高度化は目を見張るものがある。この傾向はこれからも続くだろう。コンテンツのレベルも高くインタラクション、グラフィックともに洗練されたインターフェイスデザインが印象的だった。そして、時代性といえば、地球環境にデザインがどのように関わることができるかも、今グッドデザインが考えなければならない大きなテーマだ。今年はそのテーマと向き合った作品も増加し、テーマに向きあうだけでなくそのデザイン的水準も高く、ユーザーフレンドリーなインターフェイスデザインが目を引いた。今後さらに深刻になっていくであろうこのテーマに向かって来年度以降の応募に期待したい。

今年の審査を総合すると本ユニットのグッドデザイン受賞作は、時代性・新規性があり、かつ、人に、地球にやさしいものが選ばれたといえる。もちろんグッドデザイン賞の基本であるその美しさもあわせもった作品群である。受賞を逃したものの中にもとても惜しい作品が数多くあった。紙一重の差で受賞に至らなかった応募作も含め、今後の進化に大いに期待したい。