2008年度グッドデザイン金賞
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08A05043
長屋住宅

受賞番号:08A05043

受賞対象名:

長屋住宅[FLEGバードパーク]

受賞企業名:

株式会社フレッグインターナショナル

プロデューサ名:

株式会社フレッグインターナショナル 代表取締役 藤本保雅

ディレクター名:

株式会社フレッグインターナショナル 常務取締役 浅井謙二

デザイナー名:

中村拓志/NAP建築設計事務所

 

概要

都心の一等地に建つ集合住宅である。敷地には立派な林があった。地価が高いとは言え伐採するには忍びなかったので、いかに樹木を残しつつ容積を極力確保するかを考えた。まず樹木医に診断してもらい、根の位置を割り出す。それを元に構造壁をセットバックし、どうしても根が当たる部分は地中梁を蛇行させ。太い枝はすべて測量してコンピューター上で三次元化。次にこのデータを元に、木の生長や台風時の挙動をシュミレーションして、隙間に小屋を跳ねだす設計とした。形は不揃いであるが、それは樹木が主役で建物はそれに逆らわない建ち方と言える。人間のための小さな部屋と鳥の巣箱が林の中でユーモラスに並ぶ、やさしい集合住宅である。

 

 

デザイナーのコメント

土工事は通称「根切り」と呼ばれるように、建設行為には根を切り、木を殺す概念が内在している。しかし、我々は樹木医と共に既存の木々の根の位置を徹底して調査し、地中梁を蛇行させてまで、根を避けて守った。つまり「根生かし」を行ったわけだ。密集市街地において木と建物が共存できる新しいデザインを示すことで、自然とは相反するものとされてきた建築が、木々や動物と親密な関係を結んでいくきっかけになれば、と思う。

 

 

審査委員のコメント

近年、都市居住の形態として注目を浴びているのは賃貸集合住宅である。賃貸住宅は短期間の居住を前提条件としているため、住み手のライフスタイルの設定が絞り易く、優れたデザインがそのまま商品化につながるというメリットがある。これまでいくつかの優れた賃貸集合住宅が提案されてきたが、その中でもこの「FLEGバードパーク」は、既存の豊かな樹木をストレートに住戸に取り込み、緑と建築空間を完全に一体化させた、とりわけユニークなデザインである。既存樹木と建物を近接させるために高度な技術と多大な努力が払われている。都市における自然との触れ合いの新しいあり方を提案した賃貸集合住宅として高く評価したい。(難波和彦)

 

 

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※ より詳しい情報は[グッドデザイン ファインダー]でご覧いただけます。

 

 
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