2007年度グッドデザイン金賞
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07B01059
東京工業大学緑が丘1号館レトロフィット

受賞番号:07B01059

受賞対象名:

東京工業大学緑が丘1号館レトロフィット

受賞企業名:

国立大学法人東京工業大学

ディレクター名:

国立大学法人東京工業大学 理工学研究科建築学専攻 安田幸一、竹内徹、立花美緒、岡山俊介、須賀貴康、今富陽子、宮崎健太郎、金谷浩司、山口 梓

デザイナー名:

国立大学法人東京工業大学 施設運営部 牧村恭子、樋口 豊 、小寺 豊、麻生直樹、村山 修、池田健太郎+株式会社アール・アイ・エー 飯田 直、大西久司、鶴田正一+株式会社ピーエーシー 中村政之、茂木 勝

 

概要

1967年に建てられた校舎の耐震補強改修工事である。緑が丘1号館の耐震補強工事に伴い、教育・研究の場の質を高めるべく、耐震性能のみならず光・熱環境も含めたさまざまな方面からエンジニアリングのアイデアを統合して全く新しいファサードが完成した。下層部の柱の炭素繊維巻き工事以外ほとんどの工事を外部からのみ行うことができるように設計を進めた。既存のコンクリート製庇の樋型形状を利用し、極力元のサッシュを活かすため、庇の外側へ制震ブレースを設けることを考えた。そこでまず庇内に鉄骨梁を載せ、スタッド、配筋,モルタルで既存躯体と構造的に一体化した後、エネルギー吸収型のアンボンドブレースを設置した。

 

 

デザイナーのコメント

耐震補強と聞くと「達していない性能を補完する」というような消極的なイメージがあるが、もちろん外観も含めて、建築の性能が一新するような積極的な改修とすることがキャンパス全体にも活力を与えうるものと考えた。少子化社会での大学の将来を見据えたキャンパス計画と学校建築の魅力つくりが今後の独立法人化した国立大学の大きな課題であると感じている。

 

 

審査委員のコメント

この建物は築後40年を経た、凡庸な何の価値もないように見える古い校舎を再生したものである。耐震補強のために用意された限られた予算を用いながら、次の時代に残していく施設に再生されている。これは東京工業大学というアカデミーの中で、デザイン、構造エンジニア、環境エンジニアという異なる部門の最先端の技術が協同され先鋭的に表現されたものだ。制振用アンボンド・ブレースを採用することで、コストまで含む計画全体の最適解を求めている。形状および素材を工夫した固定型ルーバーの開発などによる半開放型ダブルスキンの試みは、モンスーン気候に有効なバウフィジックス(環境物理学)の存在を予感させている。決して英雄的な作品ではないが、この仕事には現代の私たちの社会にとってとても重要なメッセージが含まれている。 (北山 恒)

 

 

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