2005 Outline

2005年度グッドデザイン賞審査総評

商品デザイン部門

和田 達也
A04ユニット:オーディオ・ビジュアル関連、家庭用情報通信関連商品
 
審査ユニット長 和田達也

 このユニット4とは、極小のインナーフォンから大型のプラズマディスプレイまで幅広い商品が混在するオーディオビジュアル関連の商品部門である。

 ユニット内の応募点数は212点、本年度から海外で販売する商品でも応募が可能となり、海外からの応募はユニット内の20%以上を占めた。ユニット全体の合格率は38%で80点。この結果に関しては他のユニットも同様で、例年より少々厳しいものとなっており、今ひとつ魅力的な商品が少なかったという印象である。
審査は審査員全員で行い、音や映像が出るモノに関しては実際に視聴し、取り扱い性に至るまで厳しく行われた。中でもユニットの約40%を占めたデジタルオーディオプレイヤーのデザインについて議論が集中した。

 国内外から様々な機能、デザインをもつ機器50点が並んだ。海外メーカーのデザインは、昨年の玩具的なデザインから少し進化は見られたものの、表示やユーザビリティに改善の必要性を感じた。しかし国内メーカーには、もっと深刻な問題点が見られた。モジュール、レイアウトがこのカテゴリーでは先駆者であるiPodに似てしまい、インパクトを感じられないのである。さすがにインターフェイスの方法は異なるものの、極端なものは角アールまで酷似していた。音質も良く全体的な完成度は高いのだが、類似したデザインには厳しい結果を出さざるを得なかった。構成物のハードディスクのサイズからくる問題であるのは理解できるが、後発の宿命としてはオリジナリティの表現にこだわってほしかった。

 当ユニットの審査員は、全員がインハウスのデザイナー経験者であり、商品作り、差別化の苦労も十分熟知している。「これからの日本のデザインの為」と決断し、デザイナーの今後の発奮を期待したい。

 注目した商品にエプソンの液晶プロジェクターがある。今までにはなかったDVD、スピーカー、プロジェクターの3つの機能を1つに融合させたこの商品は、エッジの効いたスクエアなデザインでコンパクトにまとめられている。
簡単操作で、現代の生活空間に調和した非常に美しいデザインである。ラジカセと呼ばれる複合機器が一世を風靡した時代があったが、今、この商品にその再来を見る想いがする。

 プラズマや薄型液晶テレビも多数あったが、昨年より際立ったデザインの進化が見られず残念であった。その中で海外メーカーにはフォルムに挑戦するより大胆なデザインを追求する姿勢が見られた。
このユニットに限らず、ここ数年、日本のメーカーのデザインに対する守りの姿勢が、海外の勢いに押されているような感想をもった。本来このユニットは元気のある楽しいデザインが多かったはずである。もう一度、日本人のもつ素晴らしい感性やこだわりを大切にし、チャレンジ精神でデザインに臨んでほしい。

 
 
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