2005 Outline

2005年度グッドデザイン賞審査総評

商品デザイン部門

高尾 茂行
A03-1ユニット:携帯電話、モバイル関連、カメラ
 
審査ユニット長 高尾茂行

 モバイル関連商品を中心とした本ユニットは、海外メーカーの審査対象が大幅に増加しことで携帯電話107点、デジタルカメラ(ムービー含む)69点、その他30点という構成となった。特に携帯電話分野で海外製品受賞が昨年の4点から13点へと大きく伸びた事は、競争のより厳しい世界市場向けに開発された商品のデザインと製品クオリティーが向上し、国内市場向けの日本製携帯電話より革新的な技術を導入している点が高く評価されたことに他ならない。

 また2次審査の事前においては、国内販売中モデルは各社のショールームへ出向き、海外製品及び未発売モデルは実機可動する製品を取り寄せ、それぞれ評価会議をおこなった。特にデジタルモバイル機器デザイン審査では、単に外観と操作面の意匠といった要素に限定せず、積極的に実機を操作しインターフェイス部における操作環境の改善レベルから先進性、さらにはメーカー側の想定するターゲットおよび商品コンセプトに対して整合性のとれたデザインがなされているかというところまでを審査基準とした。

 またこの分野の商品では、ユーザー層も十代から中高年と幅広く価格帯も機能要素に準じて多岐に渡るモデルが存在し、さらにはマーケット変化の推移によって商品サイクルも短期間となっているのが実状である。従って審査対象の中には、同一シリーズでの後継機種、派生機種も数多く存在していたが、発売期間ならびに前年度審査対象と比較してのデザイン改善度も加味した上で厳正に審査を行った。

 ここでは各対象をそれぞれの受賞理由を個々に解説することは困難ではあるが、審査ユニット評価として事例をいくつか挙げておきたい。
前述にもあるように今年度数多くの海外製品が、エントリーしたことで各評価項目でのデザイン比較の基準がより高くなった。まず使用時の操作感では、ボタン配列とクリック感さらにはインターフェイス画面との連動性、スライドまたはクラム開閉時のスムーズさと精度感などがあげられ海外製品の方がより優れているデザインが存在した。

 さらに第二の操作環境である画面デザインでは、画面の機動性認識性が高機能多機能化によって複雑化し起動時間を要するもの、外観デザインは変化しているものの画面デザインが、数年前のモデルから改善されていない商品が、日本製品の多くに見受けられた。この事は日本語環境という特殊な背景もあるかもしれないが、他のアジア諸国の製品も同様であるにもかかわらず、商品デザインの指針がグローバルへ向けられているのではないだろうか。そしてこのユニットでは、ユーザービリティーという要素をデザイナーがいかに配慮し解決しているかが、重要なポイントである。今回の受賞対象は以上の経緯のなかでもユーザーにとって優れたデザインとして選定した。

 
 
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