■ジャンル別講評
公共機器・設備/公共交通関連機器・設備[受賞対象を見る]
公共機器・設備の領域においては、環境的観点からの提案性を持った商品に比較的優れたものが見いだされた。中小企業庁長官特別賞に輝いた田川産業(株)不焼成しっくいセラミックスタイルのほか、太陽熱を活用し水蒸気の原理により真水を精製するAugustin
ProductdevelopmentのSolar Stillはグローバルレベルのグッドデザインとして注目された。また、テラコッタを新しい建築外壁材として大型のルーバーを提案した(株)INAXテラコッタルーバーや、再生木材を活用した屋外照明のヤマギワ(株)アーバンウッド、簡便な構造により多様な緑化舗装を実現する日本興業(株)グラススペーサーなどは、都市景観を構成する優れた景観材料として評価された。公共交通関連領域では、路面電車の岡山電気軌道(株)MOMOや、新交通システムの三菱重工業(株)クリスタルムーバーが高い完成度とデザインの斬新性で注目された。また、地味ながらもLED表示の可読性に配慮し文字表示に工夫を凝らした東海旅客鉄道(株)新幹線列車情報システムもその取り組み姿勢が高く評価された。
セキュリティ関連商品・設備[受賞対象を見る]
この領域は、デザイン的レベルのばらつきが極めて大きかった。個人用セキュリティ機器の世界ではユーザーサイドの視点に立った優れた商品が出ていた反面、ロック関係ではピッキングなど今日的問題に対処しながらもデザインの成熟度が低いものが多かった。基本的にこの領域のデザインはあまり目立つことを良しとせず、「地」としての良質なデザインが基本となる。しかし、その中でもインターフェイスの観点から新しい提案が求められるだろう。この点で今回の中では、簡便なシステムで比較的安価にセキュリティの導入ができる商品が注目された。特に、電話線に接続するだけで、携帯電話機からのコントロールが可能となる松下電工「お留守番あかリモコン」は、セキュリティ機器を感じさせないデザインと優れたインターフェイスが評価され、審査ユニットにおける金賞候補となったが、全体評価の中で惜しくも受賞とはならなかった。
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