■ジャンル別講評
調理・食卓商品[受賞対象を見る]
グラス類、食器といった簡素なテーブルウェアのグッドデザイン対象としての独創的な部分とデザインプロセスの中で優れた点を評価するように心がけた。しかし総受賞点数に対し極めて少数の応募点数である。今後、より優れたデザイン対象を審査委員サイドで探すというような取り組みも必要ではないかと感じた。また日本独自の和食文化を切り口とした新商品も応募されていたが、残念ながら量産品としての完成度が足りないものが数多く見受けられた。ただし、たとえ単価が高く生産数量が少なくとも、高品質感が表現できていた新光金属(株)の製品などは単機能的ではあるが評価された。ツヴィリングJ.A.ヘンケルスジャパン(株)の鍋・フライパンシリーズは、ハンドルとノブデザインの秀逸で斬新な外観と実際の持ちやすさ、調和のとれた全体のまとまり感などを高く評価し中小企業庁長官特別賞を受賞した。また同社のステンレス素材を採用したシンプルな包丁研ぎ器は、存在感とユニバーサルな使い勝手が両立されており、簡素な造形の中で優れたデザインに完成されている点も好評であった。
調理家電、生活家電[受賞対象を見る]
金賞受賞対象を除いて高く評価された対象は、50年以上ボリューム感の変わらない商品2点であった。まずブラザー工業(株)ソーイングステーションの新開発自動糸通しカセットシステムは、あえてユニバーサルデザインをアピールせずに各部で実践されている点を高く評価し、ユニバーサルデザイン賞候補とした。インタラクションデザイン賞候補としては、松下電器産業(株)の自動給水コンパクトアイロンの革新的スタイリングに注目が集まった。多機能複雑化するアイロン市場にインパクトある新しい作法と使いやすさのデザイン表現ができていた。炊飯器、空気清浄機、暖房機器、電子レンジ、冷蔵庫、の分野では例年のことであるが、各社のデザイン革新的な変化が見受けられなかった。審査の場面でも何を基準に合否決定するのか議論されたが、次世代のライフスタイルを予感させられるデザインが数点ではあるが製品化されていることも加味し「時代性にあっているか」という観点からも厳しく審査した。次年度に期待を寄せたい。
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